翁長宏多(プランナー)

● 就職先
建築業界大手
● 採用職種
プランナー

3年生までは授業や学外での活動が忙しく、就活を考えたりインターンをしている時間はなくて…。そんな最中でバイト先だったデザイン事務所の先輩が内定先へ就職して、自分のことも気にかけてくれました。もともと空間ディスプレイデザインの会社だということは知っていたんですが、先輩を経由して企業のことを知るうちに「おもしろそうな仕事をしてるな」と思うようになって。さらにご縁があり、ポートフォリオをお見せする機会もいただきました。その時は不思議と不安はなくて「つくってきたもの、やってきたことを見せれば興味持ってくれるだろう」ってラフに構えていたんですよね。甘いかもしれないけれど、ありがたいことに作ってきたものや動かしてきたプロジェクトをとても評価してもらえました。

根津で実施した「white squat」。壁から天井まで真っ白に塗られた空間は、キャンバスのようになった空間にまちのみんなが集うというコンセプト

二年生まではプログラミングやVRなどのデジタル分野に興味を持っていたんですが、三年生のときに立ち上げたプロジェクトをきっかけに、リアルな場での空間デザインや立体物に興味を持ちました。高校時代からメディアアートに興味があった自分にとっては、意外な展開で。どちらも空間を考えるという意味では変わらないかもしれませんけど。

プロジェクトでは空き地を使って企画から制作、イベントまでを実施しました。場所のオーナーさんと話す場面が出てきたり、人が出入りする際の導線を整理したり、 人を呼ぶためのイベントを打たなきゃ…だったり。そういう空間と周囲との関係性って、コーディングだけしている時は考えたことがなかったんです。リアルな場に入って制作を始めてから、ソフト面を考える場面が増えたのも新鮮で。自分の視野が広がる実感がありました。

ゼミで重ね続けた「とにかく作って形にすること」の先にあった、つくることへの自信

「間具」という都市や路上の隙間をハックし、空間の使い方を再定義する作品。市ヶ谷キャンパスの工房で毎日制作している

根津での活動が終わってから、空き家や空き地ってまちの余白だということに気づきました。そういう余白や隙間みたいなところが、 まちを変えていくんじゃないかと考え始めたんです。そこから都市を題材にした作品を制作し始めて、今はまちや路上の隙間をハックするような間具という作品を制作していて。市ヶ谷キャンパスは本当にいい設備を揃えてくれているので、とにかく使い倒してます。

僕は若杉ゼミに所属しているんですが、先生の「とにかく作って、形にする」という姿勢に強く影響を受けてますね。大学に入学してすぐは、固まってから作るみたいな思考がちょっとあったりしました。けれど、作っていくうちに分かってくる部分があるし、手を動かすうちに思考や現象が繋がっていく。手を動かしたことを振り返りながら「こういうことだったのね」って後から自分もわかるみたいな感覚があるんです。先生と対話しながらその訓練を続けることで、素直かつ高速にプロトタイピングができるようになり、躊躇せずに表現ができるようになりました。

何かをつくる上で大切なのは、思い詰めずに楽しむこと。すごいものを作ろうとするから、苦しくなる。それなら、軽い気持ちでも全然いいからやってみることがいいんです。学校の設備を使い倒して、自分の作品をさらにグレードアップさせて、社会に持ってくっていうことを繰り返す。その積み重ねがポートフォリオに反映されて、企業が評価してくださったんだと思います。

社会に出てからやりたいこと

とりあえず頑張って業務に慣れたいな…っていう気持ちが一番大きいんですが(笑)。潰れないように頑張る、っていうのも大事だと思うし。その一方で、クリエイティブイノベーション学科で培ってきた現象を面白がる力や楽しむ力、手を動かし実際に形にしていく力は、錆びつかせないようにしたいです。僕は就職後も、今まで通り制作も続けるつもりです。精神安定剤的な部分もあるので、きつかったら作る、という習慣になってるというか。それに自分の中から出てくるものを見るのが楽しい。制作は拠り所なんです。

これから大学を選ぶ高校生へ

大学受験って一番辛い時期だと思うんですけど、自分の後悔しない道を選んでほしいなって。 心から行きたいところに行った方がいいです。 あとは、学校についてだけじゃなくて、どんな教授がいて、何を学べるのかまで徹底的に調べたほうがいい。僕の場合「この学科へ来てよかった」と感じた大きな理由が教授やゼミでしたから。 若杉先生にすごいお世話にもなってるし、そこでの学びがあったから就職先の業界もあるし。きっと人生を左右するので、調べておいて損はないと思います。