中島純(総合職)
- ● 就職先
- 三井不動産株式会社
- ● 採用職種
- 総合職
美大に入ったのは、「場づくり」とか「まちづくり」がしたかったからなんです。出身が北海道の田舎で、そこをどうにかしたいって思いがまずあって。ただ、まちづくりを大学で学ぶんじゃなくて、そこへのアイデアを実際に形にするためのスキルを身につけたいと思って、美大への入学を決めました。
クリエイティブイノベーション学科(以下、CI学科)に入ったのも、デザインじゃなくて「デザインをどう社会に実装するか」というところまで学べるところが、自分のやりたいこととマッチしたからでした。
正直、学部が立ち上がったばかりの1、2年生のときはカリキュラムがハードで、辛い時もありました。一週間で建築の図面と模型をつくらないと間に合わない、とか(笑)。でも、そのころはあんまり将来のこと、就活のことを考えてなかったから「目の前の課題にしがみつく」って感じでした。3年くらいからまちづくりのデザイン事務所でインターンをしたり、学生寮のリーダーをやったりするなかで、すでに「CI学科の学びっていろんなところに生かされてるな」と思うようになってきて。
他の大学や学科の子と話し合いをするとき、「やっぱり筋が通ってるね」「ロジックがしっかりあるね」みたいに言ってもらえることが多くて。それはきっと、「アイデアを出すだけじゃなくて、それをどう実現に繋げるか」というところまで意識して意見しているからで、それはCI学科の授業のプレゼンで日々指摘されてきたことなので。
1年生の時に、共通絵画って授業があるんです。あれも自分のなかで大きくて。絵画作品をつくって終わりじゃなくて、どう展示するのか、そもそもなんでその画材を使ったかまで考える。そこで思考力がついたなって感じます。
そうやって、CI学科では共通絵画や、共通彫塑、デザイン系の授業も網羅しつつ、課題解決型のプレゼン授業を一緒にやる。そうやって自分をいろんな授業で比較できたのも、いいカリキュラムだったのかも。
CI学科の強みは「完成品のデザイン」より少し手前の、プロトタイプをつくること
やっぱり、多くの人が見るのってプロのデザイナーがデザインしたものだと思うんですけど、CI学科の強みって、完成品より手前の段階をデザインできることだと思うんです。
最初の、まだ構想状態のアイデアをわざわざプロのデザイナーに頼んだりしないじゃないですか。でも、ビジネス的な視点を持っているCI学科出身者だからこそ、企画もできるし、デザインを学んだからプロトタイプを作ることもできる。その流れが形になればいいと思ってて。
社内での情報共有が文書ばっかりだったのが、アイデアをグラフィック化して、よりスムーズに話し合いができるようになるかもしれない。CI学科が作った資料を元に社内で話せたら、新しいアイデアとかデザインに繋がるんじゃないかって思うんです。デザイナーさんとの橋渡しみたいな存在にもなりたいなって思います。
就活で自分の強みにどう気づいたか
就職活動に不安はありませんでした。ただ、自分が「CI学科で培った」と思ったものをうまく伝えるのは難しかったんです。やっぱり、美大でデザインを学んだというと「じゃあ何を作るの?」と言われるけど、そこに矛盾というか、食い違いがあって。
面接で「君だけがデザインできても意味ないんだよね」とか、「君のやりたいことって、うちの会社で実現できるか、ちょっとわからない」とか言われることがありました。いまは「デザイン=作品をつくる」じゃないし、プロトタイプを作ってみて、実装して、またデザインし直す「デザイン思考」もある。ただ、向こうからしたら私を採用した先のことが想像できなかったし、私も想像させるようなことを言えなかったんだな、って反省しています。
それを埋め合わせるために、自分はデザインスキルより「表現のアイデアを広げるために」美大で学んだんだ、ってすごくアピールするようにしていきました。そうしたら、「美大に進学して、総合職に行きたい理由」が伝わるようになっていきました。
社会に出てからやりたいことは
できるかわかんないけど、ホテルの開発に携わりたくて。今はやっぱり観光客とか遠くから来た人がホテルに泊まるっていうのがオーソドックスだと思うんですけど、地域の人も気軽に泊まれて、いずれはエリアマネジメントの拠点とかになるような、ホテルの活用の仕方ができる環境とか、空間を作りたいって思ってます。
これから大学を選ぶ高校生へ
何を学んでも将来に活かせると思うんです。だから、たとえばまちづくりをやりたいなら、まちづくりを学ぶんじゃなくて美大に行ってもいいし。なんなら水産とかに行ってもいい。そこで学んだことをまちづくりにどう応用できるか、っていう部分さえちゃんと自分で見つけられたらいいと思う。だから、やっぱり自分のやりたい1個の軸を持つことが大事。ありきたりかな…(笑)。