高橋葉(コンテンツクリエイター)

● 就職先
NHK
● 採用職種
コンテンツクリエイター

北海道に初めて訪れたのは必修授業の産学プロジェクト実践演習の一つ「森町プロジェクト」がきっかけでした。北海道に縁があるわけでも、地域創生にもともと関心が高かったわけでもなく「どうやら無料で一ヶ月間北海道に行けるらしいから、デジタルデトックスしたいな」と思っていて(笑)。それぐらい軽やかな気持ちでプロジェクトを選択し、三年生の9月中頃から一ヶ月、北海道の森町で暮らしながら授業に取り組みました。

その年のプロジェクト課題は「5年後や10年後、自分が森町にいた時にどういう生活をしていたいか」というもの。役場の方が地場産業の見学に連れてってくれたり、学生同士で発表に向けてリサーチと課題発見を進めたり…中間発表から最終プレゼンまで、あっという間の一ヶ月。必然的に、だんだんと北海道という場所に興味が湧いていきました。そのなかで「森町の未来」を考えるためには「自分の将来」にも向き合って、対峙しなきゃできないと気付いて。もし自分がこのまちで暮らすとしたら…という想像をしながら森町の人たちと交流し、住みながら考える中で、プロジェクトが終わる頃には自然と「北海道で就職したい」という気持ちが芽生えていたんです。その後は3月頃から本格的に就職活動を始め、6月に就職予定の企業から内々定が出ました。四年生からは森町で暮らしつつ、卒業論文や新たなプロジェクトに友人達と取り組んでいる最中です。

東京生まれなのもあり、それまでは都内で就職することだけを考えていました。だから、プロジェクトのおかげで選択肢が生まれたことにすごく感謝してます。焦る気持ちに任せて就活始めてなくてよかったなって。就職活動をするときに「具体的な誰かを想像して、その人達のためにサービスを提供したい」と考え、それを指針にできたのも、プロジェクトを通して出会った森町の人たちのおかげです。

ムサビとクリエイティブイノベーション学科の授業で培った、思考力と社会へのアウトプット力を武器に

一ヶ月の滞在を経て、森町の中で有名な駒ケ岳をモチーフにした名刺を最終課題で提出。場所によって変わる稜線から着想を得て、山の形と重なるようにカッティングしている

「森町プロジェクト」の制作物も含めて、クリエイティブイノベーション学科(以下、CI学科)の授業で取り組んだ「実社会へのアウトプット」は就活でとても評価されました。森町プロジェクトで制作した名刺は、就職活動中もめちゃめちゃ使っていましたし。その制作プロセスを伝えながら名刺を見せたところ、「稀に見る思考力と行動力がある人材だね」と言われたこともあります。

CI学科では一年生で絵画や彫刻の授業やデザインの授業など広範囲な造形のプロセスを学び、二年生の演習で「課題」を分析し、アウトプットを重ねる練習をします。そして三年生で実地に出て、プロジェクトを動かす。「発想力を磨き、デザイン力を磨き、さらに社会で実践する」という一連のカリキュラムを経ることで、段々と力がつき社会で評価されるようになっています。就活を通して、CI学科の実践的な力が社会でとても必要とされてると強く感じているし、その未来を見据えた学科にいたのは自信にもなりますね。

もしこれから就職活動をする後輩がいたら、CI学科の発想力と構想力を軸にしつつ、自分の強みが何かを考えた末に未来を決めてほしいかな。それは就活っていう形だけじゃなくて、 起業することかもしれないし、公務員試験って形になるかもしれない。出来て日が浅い学科で就職実績がない分、前例や「就職」という形に囚われなくても、何かできる素地は身に付いていると思うんです。

社会に出てからやりたいこと

来春から放送業界に就職予定で、北海道で番組制作に携わっていく予定です。ゆくゆくは、北海道の各町民の中から、キラっと光る部分を拾い上げるような番組を作りたいなって考えていて。番組にすることで、街の人の夢をみんなで叶える…まだ曖昧だけど、そんな番組を作ってみたい。これも、森町で接してきた町の人たちの良さを通して考えるようになりましたね。

それに、一緒に森町プロジェクトを動かしていた同級生の二人も北海道に残る気がしていて。私は札幌ほか道内様々な場所で勤務するため森町を離れてしまうんですが、ゆくゆくまた同じ町で合流し、共にプロジェクトを動かす未来も素敵だなと思います。

これから大学を選ぶ高校生へ

これから大学を選ぶ人にとって、この学科が合うかどうかは個々人によると思います。高校生のときの自分は、偏差値の外に価値を見つけたくてこの学科を選びました。結果として、そのプロセス全てが合っていた。だからもう一度大学選びをし直すとしても、CI学科を選ぶ気がしています。

これから色んな仕事がAIで自動化されていくなか、人間ができることは発想力に行きつくのかなって。新しいことが好きだったり、将来的にそういう頭の使い方をしたい人に向いている気がしますし、そのポテンシャルを活用して、社会で実践できる力が身につくことは伝えておきたいです。