梶野結暉(公務員)

● 就職先
長野市役所
● 採用職種
公務員

惚れ込んだ町にチャレンジ枠として採用。
行政にも自由な意見とクリエイティビティを持ち込みたい

私は一度しか就職試験を受けてなくて、それが就職先の長野市役所です。長野市はローカル企業も個人店も多く、長野育ちも移住者もおもしろい人ばかりなんですよ。最初は観光で訪れたんですが、その後何度も行くなかで活躍する大人に会ったり、友達や繋がりが増えていくうちに「ここで働けたらいいな」と考えるようになりました。

四年生になるといよいよ就活ムードが高まり、どうしようかと探していたときに長野市が設けていた「チャレンジ枠」を見つけました。試験は作文と面接だけ。受験資格は「市が抱えるさまざまな課題に対して柔軟にチャレンジできる人材」。漠然と、この採用枠は自分に合ってるかもしれないと思ったんです。
というのも、産学プロジェクトで大分県日出町に滞在し、コミュニティと関わる中で「意見を持っていて、制作まで落とし込める若手が行政にもっと必要なのでは?」と感じていたのを思い出して。それは長野市も一緒なのかもしれないと思ったんです。正直、自分は市役所にいなさそうなタイプです。でもそういう自分だからこそ、堅い職場の中で面白く動けるかもしれないなって。

大分県日出町での産学プロジェクトにて、地域社会における表現の民主化をテーマに制作した、誰がどのように弾いても不協和音が鳴らない楽器。

市ヶ谷キャンパスで見つけた制作仲間と
「自分の手でつくる」という実感が自信に

三年生は自分にとって色んなことが変わり始めた年でした。まず市ヶ谷キャンパスに通うようになってから、一緒に制作をする仲間ができ、新しい教授陣にも出会いました。うまく表現ができないけれど、この人たちとの出会いが決定的に自分を変えたな、と思うんです。また市ヶ谷に工房があることで、制作の機会が圧倒的に増えたのも大きいですね。ホームセンターで木材を買い、自分で切って…初めての制作で手触りを得て、自分の手で形にできるのが嬉しくて。

自分は得意分野があるタイプじゃなくて、頼まれごとになんとかして応えようって思うタイプなんですよ。だから教授から無茶振りされたり、産学共同の取り組みで展示メンバーになったり、卒制展に向けた壮行会のために夜通しデザインしたり…シチュエーションはさまざまだけど、どれもその時に求められたものを最大出力で頑張ってきました。もちろん、一緒に作っていける友達がいることで実現し得たことばかりです。どの制作物・プロジェクトの根底にも「人を喜ばせたい」という気持ちは共通していて、どんなにギリギリでも「びっくりさせてやるぞ!」という気持ちで友人に助けられながら作っていましたね。

社会に出てからやりたいこと

まだ配属が決まってなくて。長野市役所には300もの課があります。たとえ配属先が自分の中に全く知識がない鳥獣対策課や土木課だったとしても、そこでチャレンジし、なんでも頑張る覚悟です。ただ、まずは行政のことがまったくわからないので、仕組みや組織を知ることから始まるのかな。
あとは、就職を言い訳に制作を止めないことは決めています。ここで終わったら勿体無いので。市ヶ谷で一緒に制作していた仲間たちと離れちゃうけど、たぶん長野まで来てもらって何かしらやると思う(笑)。

これから大学を選ぶ高校生へ

私がいた高校は進学校だったんですが、私はずっと「勉強って嫌だな、なんかこう、私にはもっと好きなことがあるはず…」とうずうず、モヤモヤしてて。もしもいま高校生で同じ状態の人がいたらCI学科も選択肢に入れてほしいです。本当にいろんな人がいて、関わる機会もめちゃめちゃ多いから、ある意味で無責任に影響を与えられまくる。手を動かし、それを人前に見せる機会もたくさんあります。そのインプットとアウトプットをしていくことが自信になります。